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Gokutsubushi's Blog

世界を席巻する日本のポップカルチャー、アニメをどう売るか

貴州と重慶出身の中国人学生3人と鍋を囲んだ。

彼らは日本語歴1年未満だが、こっちの話す内容を理解して応答してくる。こちらは中国語歴2年半だというのに、公用語は終始日本語。

こんなに情けないことはない。もっとがんばろう。

 

話題は多岐に渡ったが、僕は隣に座った重慶出身で南京の理工大学卒の青年とアニメの話ですっかり意気投合してしまった。

彼ともう1人の女の子はアニメどころか宮野真守なんかの人気声優や澤野弘之みたいな作曲家の話までついてきて、日本のオタク文化の裾野の広さと中身の深さに驚愕したよ。ガンダムガンダムUC→澤野弘之→キルラキル→グレンラガンって話の流れのときは最高に盛り上がった。グレンラガンは5回見たそうだ。僕も日本語セリフの中国語翻訳の方法について熱く語った。

 

やはり日本のアニメは凄い。中国の若者のほぼ全てが一度は何らかの形で見ているし、かなり多くの若者が日常的にネットで視聴していると思って間違いない。北京の地下鉄ではスマホで「黒子のバスケ」を見るおばさんが印象的だった。重慶の彼のように、アニメで日本語を多少覚えてしまってから日本に渡ってくる者も決して少なくない。

思えば先月ロシアに行ったときも同じようなことがあった。大学で日本語を学ぶ学生たちの学習のきっかけとして、村上春樹に代表される日本文学と並んで漫画・アニメがある。ロシア人が日本のアニメを見るなんて、日露両国の文化の違いから考えれば異様なことだ。

 

日本のポップカルチャーは凄い。この潜在的な市場規模、そして外交的なソフトパワーは計り知れないものがある。我々はもっとアニメのことを考えなければならない。全世界で億に届く人間が消費したであろうジブリが、収益不足で破綻するなどあってはならない。

いかにアニメを売るか。もはやブルーレイの売り上げに頼るビジネスモデルが時代遅れなのは火を見るより明らかだ。今日交流した重慶の彼はすべてネット上でダウンロードしていたそうだ。それはもはや違法ですらない、「購入厨」以外のユーザーの常套手段になっている。いまや大部分の日本人ですら動画サイトで見ているんだ。テレビ放送されない日本のアニメを外国人がネット上で見ることを、どうして責められるだろう。ロシアの学生たちも、以前北京で出会ったキルギスタン人のアニオタも、同じようにネットで見ていたに違いない。好きなコンテンツが無料で見れる(というか有料で見るすべがない)のだから、それは仕方ない。

 


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これからの可能性は、広告収入やグッズ販売だろうか。そういう意味で僕は「ビリビリ動画」に大きい期待を寄せている。このニコニコ動画に少ーし似たサイトは、以前は日本のアニメを野放図に垂れ流していたものの、今ではほとんどの新番組を公式に許可された形で配信している。「日本に許可を取った公式配信」というのは、日本の会社と中国のユーザーとの間にWin-Winの関係をもたらす予感がする。日本側には広告収入が入るし、日本の放映と同時という配信の速さ、画質、字幕の質、消されない安心感などはユーザーにとってもけっこうなメリットだ。アフィリエイト広告のグッズ販売も、海賊版がかなり減って上海のアニメイトなんかの公式モノが増えてきた。

 

悲しいが、もはやアニメは無料で配信するものと諦めるしかない。

「君は悪のなかから善をつくるしかないのだから」このフレーズは頻繁に頭の中に蘇るんだけど、何の本で読んだのか思い出せない。西谷修ロシア文学から引用していたような気がするけど。

とにかく僕たちは、悪のなかから善をつくるしかない。音楽業界がCDを見限って「着うた」やiTunesでの配信にシフトしていき、CDの持つ役割が握手券の付属品に変化したように。ディスク販売は一部のマニアのための小規模産業になる。もっと別の部分でアニメを売り出していかなければならない。

それはLINEのスタンプだったり、スマホの着せ替えだったり、アニメとコラボした地域や産業のイベントだったりするだろう。僕たちはもっとアニメの持つ可能性について考えなければならない。

 

今日あらためて確信したが、アニメ外交ってのはアリだと思う。子どものころに同じ作品で笑って泣いた経験があると、価値観の共通する部分があるんだって思える。対話可能な相手だとわかる。

一方でジャニーズやAKBが全くもって不人気なのは笑った。まぁこれまでに会った数十人の中国人やロシア人だけの話だから、アイドル好きな外国人も沢山いるだろうけど、やっぱ日本のアニメ・漫画だけが独占市場状態なんだよな。アイドルなら欧米や韓国と比べて日本だけに目に見える付加価値はない(もちろん目の肥えた人にはあるんだろうけど)。

 

 

そういえば今週のジャンプは個人的にはちょっと外れでした…。大人が読むとつまらないし、これを子どもに見せたいかというと否。

『学糾法廷』は『暗殺教室』人気にあやかって『ネウロ』の”顔芸する犯人”がやりたいんですかね…ミステリとしてもサスペンスとしてもあんまり面白くなかった…

パラパラっと見ていって、『E-ROBOT』『もめるひと』『卓上のアゲハ』と少年誌のエロを履き違えた作品が並んでいるように思われて少し気持ち悪くなりました。きっと今がジャンプ史上最低の布陣でしょう。ジャンプの女の子成分としてはラブコメの『ニセコイ』と健全なエロの『食戟のソーマ』で充分な気がするんですがどうでしょう。