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Gokutsubushi's Blog

北京のカラオケ

中国人の女の子二人とカラオケに行ってきた。中国のカラオケボックスはなぜかは知らないけどKTVという。

前に行ったときも思ったけど北京のKTVには日本語の歌がそれほど充実しているとは言えない。とはいえ外国なんだから日本語の歌が入っているだけでありがたいことなんだけど、そのラインナップがよくわからない。
たとえばスキマスイッチはあるがゴールデンタイムラバーともう一曲しか入っていない。全力少年も奏もない。Mr.Childrenはあるがイノセントワールドしかない。B'zはあるが恋心しかない。
それから演歌が全然ない。そもそも演歌だとかアニメ特撮とかのジャンル分けがなされていない。おそらく分類するほどそのジャンルの日本語の歌がないのだ。
そのくせ変な曲がちゃっかり入っていたりする。黒子のバスケのオープニングや初音ミクの歌がなぜか入っていたりして、だったら森進一を入れてくれよと思う。三代目J Soul Brothersとか剛力彩芽とか比較的新しいのもなぜかいくらか入っていたが、選曲はやはり微妙だった。アーティストも曲もどうしてこれを選んだのかよくわからない。

結局、こちらが歌いたい歌を検索するのではなく、日本語の歌のラインナップを頭から見ていって、歌えるものを選ぶというふうにするしかなかった。

余談だがアーティストのサムネイルがところどころ出鱈目になっているのがちょっとおかしかった。
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Berryz工房にそのイメージとは似ても似つかない画像が付けられている。

僕は片っ端から日本語の歌を歌い、二人は中国語の歌を歌った。ほとんど台湾・香港のC-POPか、もしくは大陸の古風な歌だった。

終盤日本語の歌が品切れになり途方に暮れていると、女の子の片方が『千本桜』を入れようと言った。これにはちょっと困った。聞いたことある人いると思うけどこの歌すげえネトウヨっぽくてあんまり好きじゃないんだよ。歌詞も雰囲気も。まあ個人の好みだから人が何聴こうといいんだけど。
結局最後に僕が『千本桜』を歌った。桜とか日の丸とか出てくる歌詞とか、PVのミクの扮装とか、ほんと見事に日本のネット文化の保守な雰囲気を体現してるよなあと思いながら歌った。自由主義史観と二次元美少女の結びつき。ザ・ネトウヨって感じ。
それで僕はやだなあと思ってたのに、中国人の女の子は満足げにこの歌がとても好きなんだと語ってくれた。いつも宿題をするときに聴いたりするんだそう。
なんか笑った。日本のネット・オタク文化って明らかに保守的な言論に包まれてて、僕たちはなんとなく中韓にヘイト的でなんとなく生活保護バッシングに代表される反リベラルな雰囲気のなかで日々スマホとパソコンをいじっているわけだ。僕はそれをいやだなあと思う。
でも中国人の彼女らはそういうふうには感じずに、ただただ初音ミクを「キャラ萌え」の形で消費して、『千本桜』の自由主義史観的な雰囲気をも単なる大正ロマンとしてかっこいいと思って楽しむ。この抗日ドラマと正反対の物語を喜んで消費する。

僕個人は日本のオタク文化と保守的な雰囲気が結びついたネット言論は嫌いだし危険だと思う。でもそういう土壌から生まれた作品やキャラクターが中国人の若者を魅了して、日本文化への接近を促している側面が確かにある。オタク文化は苦々しい部分もあるけど、やはり日中友好に絶対必要だ。