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Gokutsubushi's Blog

おもしろいものが見つからない

中国にはなかなかおもしろいコンテンツが見つからず、残念に思っている。いや、もちろんそれは「僕にとって」おもしろいコンテンツが、「僕には」探し当てることができていない、ということでしかないのはわかっているけれど。本当は僕が日本で愛好していたような小説、漫画、映画、お笑いの類の魅力的なコンテンツは中国にもあるはずだ。他の娯楽でもいい、きっとおもしろいものはある。それを中国語による検索能力の不足のために見つけられていない、また中国語を噛み締める能力が低いために充分に楽しめていない、というだけだろう。

とはいえ、やはり中国人の友人も言うように、中国の文化水準は高いとは言えないのが現状のようだ。それはソフトパワーだけでなく、学問的な成果にも悪影響を及ぼしかねない要因になる。

 

最近はずっと両親が日本から送ってくれた本を読んでいる。村上春樹を読んでいる時間は他のどんな時間にも代えがたい。

残念ながら、ここにはそれを共有できる友人はいない。自分の心の動きに共感して、一緒に何かを感じようとしてくれる友人はいない。

一人だけ、イギリス人のクラスメートは村上春樹を読んだことがあると言っていた。彼はトルストイを読み、村上春樹を読んでいる。北京で英語を教えながら大学で中国語を学び、在北京の英語教師たちによる劇団に参加して、ときにシェイクスピアを演じたりして留学生活を過ごしている。いまごろは公演のために天津にいるはずだ。

やはり知識人はすばらしい。会話の質が違う。何より、一緒にいて楽しい。僕自身が知識人でもなんでもないから、憧れる。

 

残念ながら、僕がいままで接してきた中国人に、深くモノを考える能力と習慣がある人はそう多くない。日本人もほぼ一緒だが、中国の方が状況はより深刻だ。

漫画でもドラマでも小説でも、おもしろいものがない。芸術性が非常に低く、勧善懲悪を軸とした価値観に奉仕するだけの創作物が非常に多い。無性に日本の本が読みたくなる。ハヤカワSFマガジンが死ぬほど読みたい。福本信行の漫画が読みたい。

 

残念だけど、中国におもしろいコンテンツが生まれてくることはしばらくないだろうと思う。当局による表現規制が苛烈なのと、知的財産権という意識が希薄であることが制度的な原因だ。

だが根はもっと深い。中国人はおもしろいものを思いつき形にするということができなくなっている。哲学や文学というものに価値を見出せなくなっている。反知性主義が日本とは比較にならない猛威を振るっている。

 

考えがまとまらない。だけど確かに言えるのは、中国はこのままじゃだめだということだ。日本や欧米のコンテンツはほんとうに面白いと思う。最近はアメリカのマイリトルポニーがおもしろい。本当に。