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Gokutsubushi's Blog

留学開始

おはようございます。

実はまだ北京入りして三日目です。本来なら先週の火水どちらかに北京の大学に乗り込んで入学手続きをしなければならなかったのだけれど、月曜のフライト前日に胃腸炎にかかり、病床に臥していた。やれやれって感じです。
焦ってもしかたないので村上春樹を読んでいた。『ノルウェイの森』は人生の途上に空いている落とし穴について書かれた小説だったので、読んでいると今現在の間の悪い発病というどうしようもないシチュエーションも、「まあこういうことも人生にはあるよな」って感じでなんとか相対化ができる。やれやれです。

水曜には恢復していたが月火水木金と寝て過ごし、再度土曜の昼の便の航空券を取った。その間ずっと留学先の大学にメールを送り続けていたのに全く返信が来ない。もう行ってみて交渉しよう。ダメだったらまた帰ってくればいい。一日で部屋を片付け、最低限の荷物を作って空港へ。大韓航空はサービスが良くて好きだ。従業員が日中韓全部少し話せる。機内でベイマックス見て寝た。ソウルで乗り換えて北京へ。
北京首都国際空港には北京大学に留学中の友達が迎えに来てくれた。本当は一人で入学までやり遂げたかったけど、もはや出遅れてしまったのだからなりふり構っていられない。飯を食い、友達の家で快楽天を読んで寝た。

日曜、午前遅く起きて友達と一緒に留学先の大学へ。日曜だから当然留学生事務室は営業していない。留学生寮へ。ロビーで中国人然とした中年に向かって日本語を話す日本人の顔をした女の子たちを見つけ、話しかける。案の定日本人だった。彼女たちも出遅れ組で、日本語のできる中国人の先生に説明を受けているところだった。僕もいっしょに入学テストを受けたりの手続きができることになった。明日は9時から入学式。こんなにうまく行くとは思わなかった。
その足で入寮手続きを済ませ、建物の八階に上がって自分の部屋へ。ルームメイトはイラク人。ノックして開けると、裸のイケメンがベッドに寝て電話していた。洋画でよく見るやつや。こわい。日本人としてはここでルームメイトに礼儀正しく挨拶したいところなのだが、中国語で話しかけても笑顔で処理されてしまう。電話から手が放せないらしい。しかたないので部屋を内見しただけで出る。不安。
それから友達に手伝ってもらって銀行口座を開設した。めんどうな手続き、行員とのやり取りは全部彼が引き受けてくれた。これじゃダメだとは思いつつ、今だけはしかたないとあきらめる。本当は一人で格闘したかったが、正式に入学するまでは頼ろう。明日払う学費等も足りないので友達に工面してもらう。
日も傾いてきたので、荷物を取りに友達の家へ帰った。昨日読んだ快楽天20周年記念号の続きを読む。快楽天を読んでいるあいだは、日本であれどこであれ幸せな気分になる。しばらく休み、近所の料理屋で夕食をとったあと、一人でバスに乗り大学の寮へ向かった。やっと一人になって夜の北京を歩いていると、異国に乗り込んできたんだという実感がにわかに湧いてきた。
20時に寮に入るも、イラク人は部屋にいなかった。日本人の女の子二人の部屋で暫く過ごし、22時過ぎに部屋に戻ってもまだいない。通信の遅い寮のWi-FiスマホとPCに繋げてみたりして時間を過ごす。今夜は戻らないのかと思っていたら23時を過ぎてから金髪碧眼の美女を連れて部屋にやってきた。戸惑いは隠せないがここで先手を打たねば。中国語で今日からこの部屋に住む日本人だと伝える。イラク人の彼は近くで見るとけっこう親しみやすい顔をしていて、笑顔で握手してくれた。曰く「この部屋にあるものはなんでも使っていい。」このWi-Fiも使ってくれ、といって自分のルーターのパスワードを紙に書いてくれた。ひとしきり会話すると彼女を連れてまた出ていってしまう。どうやら僕は一人部屋を二人部屋にしてしまったことで彼らの時間を台無しにしてしまったみたいだった。
彼のWi-Fiは非常に優秀だった。日本で用意したVPNの調子は良くないが、それでも日本やアメリカのポルノサイトにアクセスできることがわかったのは収穫だった。Facebookも見れた。
午前1時ごろにまた彼が(一人で)帰ってきたので、紙に名前を書いて自己紹介する。彼はここに留学して三年になるそうで、中国語も達者だが英語のほうが得意なようだった。イラクなんていま半分イスラム国になっちゃって崩壊しているじゃないか、君の家族はどうしてるんだ?と聞きたいが、こらえた。英語力が足りないし、きっとルームメイトには適切な距離感というものが必要だろう。いきなり相手の懐に入っていくのは日本人の感覚からも望ましくはない。
ノルウェイの森』の上巻には「突撃隊」というルームメイトが登場した。僕のルームメイトは今のところどちらかといえば外交官志望の東大生、永沢のイメージに近い。いずれにしろ、僕も『ノルウェイの森』の「僕」のように様々な経験をして、そこで得た感情をどこかに記すことで、忘れずに保持したい。



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ゆうべ撮った部屋の写真。寮費は前期8600元だから月1700元(34000円)くらいしますが、悪くない部屋だと思う。