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Gokutsubushi's Blog

『Gのレコンギスタ』媚びないメカデザインに誠実さを感じる

Gレコが面白い!

キャピタルアーミーのモビルスーツのデザインがもう…ひっどいですね!足と手を真横におっ広げて、真面目な顔して編隊を組むさまは一周回って壮観です。そして股間からミサイル。これはなんなんですかね…ろくでなし子さん逮捕へのささやかな抗議でしょうか。

ふつうロボットアニメのロボットは格好良くデザインしますよね。その方が戦争ドラマの見栄えが良くなるし、プラモも売れる。これは現実の家電なんかでも同じで、iPhoneでもタブレットでもとにかくスタイリッシュに格好良く作る。その方が売れるから。これが常識。

この常識をあえて破るのだから富野監督って凄い。「あえて」です。メカデザインが未熟で、「まちがって」ダサいメカを作ってしまうのではなくて、「あえて」ああいう奇抜なデザインを、わかった上で選んでいる。

サンライズガンダムシリーズをやるに当たって、スタイリッシュなデザインなら普通にやればできる。なのにあえてそうしないのは、富野ガンダムが「格好良さ」を基準にした価値観でアニメを作ってないからですかね。ティターンズの可変機をベースにして設計すれば、格好良い機体はいくらでも量産できそうなものなのに。身動きの取れないドダイに乗ったり、みっともなく僚機につかまったり、開脚しなくていいのに。

宇宙世紀では、可変機はコストばかりかかって量産できないという認識がつねについてまわります。百式は本来ゼータの系列でデルタガンダムになるはずだったのに、技術的な制約で可変機にはならなかった。結局デルタガンダムの正式配備はユニコーンの時代まで待たねばならない。

だから、ガンダムってSFなんですよね!そこが最高なんです。僕の中のSFとファンタジーの差異は、制約があるか否かです。SFは何かの原理や法則の中で、それらの制約に忠実に従って進行する。対するファンタジーは制約がない、悪く言えば「やりたい放題」です。魔法や魔物は本来規格外なものですから、厳密で詳細な説明は野暮というものです。グレンラガンは「螺旋力」の説明をしなくたっていい。

ガンダムは、「格好良さ」を原理にして宇宙世紀的な世界内のルールを軽視することをよしとしないってことかもしれません。だったらすごく素敵だなあと思います。商品としてはロボが格好良い方が絶対売れるのに、作品世界の内部のテクノロジーやリソースに準拠したデザインを選ぶなんて!作品やその受け手に対して、すごく誠実じゃないですか!